東京都正札シール印刷協同組合青年部
3月勉強会
3月24日(金)PM7:00より東京正札シール印刷会館1F会議室において勉強会が開かれました。
テーマは「容器包装リサイクル法、家電リサイクル法の解説とシールラベル業界への影響について」です。
今年4月より施行される「容器包装リサイクル法」、来年4月より全面施行される「家電リサイクル法」とは、どのような法律であり、我らシール業界にどのような影響を及ぼすのか知る必要があると判断し、今回の勉強会を開催する運びとなりました。
今回はリンテック(株)営業統括室企画部の矢島俊一調査役(写真向左)と東日本営業本部営業技術部の野崎聡係長(写真向右)の御二人を講師に招きました。
野崎さんはまずこの容器包装リサイクル法制定のきっかけとなった環境問題について触れました。
それによると東北協組で、「仙台市がISO14001を取得後に納入業者も出来るだけ規格を取るようにという申し入れがあったが、今後は環境ISOがなければ仕事は出来ないのか?」という話があったそうです。
続いて、このように環境問題はラベル業界でも大きな関心を呼んでおり、世の中の流れとして今後は環境を考えないと商売が進まないようになるが、逆に環境やリサイクルは1つの商売道具になるとも言えると述べられました。
さて、容器包装リサイクル法の概要ですが、正しくは「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」といい、家庭等から排出される一般廃棄物の中で、再生資源として利用できる容器や包装類についてのリサイクルシステムを確立する事を目的として1997年4月に一部施行されました。
この段階で対象になっているのはガラス瓶とPETボトルです。
廃棄物のリサイクルを促進する為に関係する事業者、消費者、地方自治体それぞれの役割を明確にすると共に、事業者に特定の容器と包装の再商品化を義務づけているのが特徴です。
対象になるのは商品が消費されたり、商品と分離された時に不要になる容器・包装であり、1)産業廃棄物、2)家庭以外から排出される一般廃棄物、3)家庭からの排出されるものでも、法で定められた10品目以外は対象外になります。
容器包装リサイクル法の対象となる容器包装 | |
---|---|
特定容器 | ・金属缶(アルミ、スチール) ・ガラス瓶 ・プラスチック容器(PETボトルなど) ・紙製容器(紙パック、段ボール) |
特定包装 | ・包装紙 ・食品ラップ |
*容器包装の内、容器であると主務省令で定められた物を特定容器、容器でない物を特定包装という。
飲料等に付されているシュリンクラベル以外のステッカー、シール(キャップシール、ワイン等の金属製シールを含む)は対象外であり、仮に対象となる容器包装にラベル、ステッカーが貼られた場合に分別基準適合物であるかが問題になるが、消費者に対し剥がせる物は剥がして排出して頂くようにお願いと啓蒙がなされると予測されます。
続いて来年4月より施行される家電リサイクル法です。
「特定家庭用機器再商品化法」といって98年に制定され、家庭などで使用された後、廃棄される家庭用電気製品のリサイクルを進める為に関係者の役割分担、費用負担などを定めています。
製造業者および輸入業者、小売業者、消費者、市町村の4者をリサイクル義務を果たすべき関係者、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4種類の家電製品を対象機器としております。
関係者の果たす役割 | |
製造者および 輸入業者 |
1・自ら製造、輸入した対象機器の引き取り義務 2・引き取った対象機器を再商品化等基準に従い再商品化などを行なう義務 |
小売業者 | 1・自らが販売した対象機器の引き取りや、販売する祭に同種の対象機器の引き 取りを求められた時に、これを引き取る義務 2・引き取った対象機器を製造業者などに引き渡す義務 3・対象機器を確実に運搬する為に、管理票を発行するマニフェスト制度の実施 |
消費者 | 1・対象機器の再商品化が確実に実施されるように小売業者に適切に引き渡す 2・対象機器の収集、再商品化などに関する料金を支払う |
市町村 | 収集した対象機器を製造業者などに引き渡す |
リサイクルが4種類の家電製品に限られ、リサイクルシステムが確立されていない事から、ラベルについては、まだその方向性がなされていません。
しかしこの後プリンタやコピー機等のOA機器とされている事、プラスチック素材についてもリサイクルの対象になり得る事から、(1)再剥離(2)同質同素材(マテリアルリサイクル)という対応策が考えられます。
説明終了後、今回の幹事の下山さんが進行役になり参加者全員が1人ずつ行なう質疑応答が始まりました。
その質問の内容は主に容器包装リサイクル法の対象か、対象でないかに集中し、野崎さん、矢島さんがそれに答えて頂く形式になりました。
その中で「ウェットティッシュの封になるラベル等は、場合によっては対象となり得ます。」という話も聞く事が出来ました。
最後に矢島さんは「容器包装リサイクル法ではサーマルリサイクルも認められておりますが、家電リサイクル法にではマテリアルリサイクルだけとなりますので、今後ラベル業界に大きく影響してくるのはこちらだと思います。」と家電リサイクル法の方が重要である事を強調されました。
今回は大変勉強になりました。
講師を務めて下さった野崎さん、矢島さんの御両名には御忙しい中、当青年部の為に時間を割いて頂きまして厚く御礼申し上げます。
また、御協力を頂いたリンテックの方々も誠にありがとうございました。
東京都正札シール印刷協同組合青年部 部長 伊藤浩敬