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 正札シール組合>2019新春講演会
 
 田中祐 全日本シール印刷協同組合連合会会長講演 全文A
  
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 ドラッガーさん曰く…   
 ここからお話の内容がまたがらっと変わりまして、いきなりドラッカーさんの言
葉をここで持ってきております。「マネジメントとは、マーケティングとイノベーションである」と。これは皆さんも聞いたことがある方もいらっしゃるかと思うんですけれども、より正確に言うと、企業の基本行動はおおよそマーケティングとイノベーションに集約されるとか、確か正確な訳はそんな内容だったと思うんですけれども、ただ、ドラッカーと言えばマネジメントだろうということで、よく意訳的に、「マネジメントとはマーケティングとイノベーションである」なんていう言われ方をされますけれども。
 これの意味なんですが、皆さんの手元には吹き出し付いていますね。じゃあ、隠してもしょうがないね。出しましょうか。マーケティングというのは、乱暴に言ってしまえば、「何もしなくても売れる方法を考えること」というふうにドラッカーさんは定義をしました。ただ、実際には「何もしなくて」というのはちょっと言い過ぎなんじゃないかなと思うんですけれどもね。要は、売れる方法ですね。売れる方法を考えると。それがマーケティングであると。
 イノベーションというのは、日本でカタカナでイノベーションと言うと、どうしても技術革新だとか、新しい今まで何もなかったものを作り出すだとか、すごくテクニカルなキーワードのように受け取られがちですけれども、実は、本当は技術の世界に限定した言葉ではなくて、新たに経済的な価値をつくり出すことという意味らしいんですね。新たに経済的な価値をつくり出すこと。
 例えば、全くゼロの状態から新しい製品をつくり出して、それが市場のニーズに合致していたら、それは当然イノベーションにはなり得ますよね。でも、それ以外にも、例えば経営の合理化であったりだとか、何か新しい付加価値を付けたりだとか、今やっているやり方を工夫して、もっとローコストで物がつくれるようにしたりだとか、ツーパスでやっているのをワンパスでできたりだとか、そういったものも広い意味ではイノベーションと言えるということなんですよ。
 ここからが今日の本題なんですけれども。そうやって考えると、組合で、組合員の皆さまの間で行われているさまざまな会話であったりだとか、勉強会であったりだとか、そういったものはほとんどイノベーションに偏っているんじゃないかなというのが僕の意見なんです。いかにラベルをうまく作るかだとか、「これ、どうやって作ってんだろうな」とか、恐らくこんな「何回通し」でどうだだとか、箔押しが何だとか、エンボスが何だとかって、みんなそういう技術的な話になると、「どれ、どれ、どれ」って身を乗り出して話をするでしょう? みんな、そういうの大好きですからね。ただ、どうやって売るかとか、いかに売れるようになるかということを、まともに話し合った記憶が僕はないんですよね。頷いてくださっている方も結構いらっしゃいますけれども。
 なので、これから、本当に市場も成熟して、先ほども日本のマーケットトレンドというところでお話ししましたけれども、これだけ市場も成熟してしまって、われわれ、生き残っていかなきゃいけない時代になっているわけなので、ここで組合に所属されている組合員の皆さんと、それ以外の方々との差別化と言うか、どうやって生き残っていくかというのを、組合員のみんなでは真剣に考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。そこで、今日はそのマーケティングのお話をこの後させていただきたいと思います。
 ブランディングとは   
 まず、ブランディングというお話をしたいと思います。ブランドだとか、ブランディングという言い方をしますけれども、どういったものが思い浮かびますかね。ブランドと言ったら、よくある高級品のブランド、ルイ・ヴィトンだとかシャネルだとか、お化粧品だったら。あるいは、車でもベンツだとかレクサスだとか、ある意味ブランドですよね。そういったことについて、これから考えていきたいと思います。
 このスライドはあるのかな。「さて、皆さんに質問です」という。これはあります? ありますか。じゃあ、順番にいきましょう。「飲んだことのないお酒を買うとき、何を基準に選びますか?」と。例えば、久しぶりに大学時代の同期と駅でばったり会いました。話が盛り上がって、「今度うちで、同期集まって、みんなでホームパーティやろうよ」みたいな話になりました。
 やつは、大学時代から飲んべえで、僕の話じゃないですよ、(笑)お酒が大好きで、非常にこだわりもある人だと。ワインでも日本酒でもウイスキーでも何でもいいです。お酒を召し上がらない方はお菓子でも何でもいいと思うんですけれども。じゃあ、彼の家におよばれに行って、手ぶらで行くわけに行かないから、何か買って行こうじゃないかと。ちょっと高級なスーパー、成城石井だとか伊勢丹クイーンズだとか、そういうところに行って、ちょっと珍しい銘柄が並んでいると。そんなときに何を基準に皆さん、お酒だったとしたら、何を基準に選ぶでしょうかね。
 じゃあ、辛口の日本酒が好きだとしましょう。日本酒度というのがありますね。プラスマイナスの数字で表されている。数字がプラスだったら辛口なのかな。辛口のお酒がずらっと並んでいると。その中で、「じゃあ、これにしよう」というふうに決めるときって、何を基準にします?
 メーカー? はい。ありがとうございます。そうですね。なかなか皆さん、ラベル屋さんのくせにラベルって言ってくれないですね。(笑)じゃあ、先に答えを言いますよ。ラベル見て選ぶでしょう? 飲んだことなかったら、ラベルを見て、何かこれ格好いいとかって、思わず手が伸びません? あるいは、ラベルを見たときに想起されるイメージから、さわやか系なのかなだとか、ちょっと癖のありそうなものなのかなとか、どっしりとした重ためのものなのかなだとか、そんなイメージが出てきたりとかするじゃないですか。
 あるいは、店員さんが書いた手書きのポップを見て選んだりもするかもしれないですね。バイトの何々君の一押しなんていうのがあったりだとか、そういうような形でなる、今まで味わったことがないものを選ぶときって、人はそういう見た目とか、情報をまず欲しがりますよね。定量的な情報がないときは、やはりイメージだとか、そういったもので選ぼうとする。なので、ラベルというのは、そういう意味では非常にプリミティブな、原始的なイメージを想起させるためのツールなんですね。言っている意味が分かりますかね。
 なので、ここにいらっしゃるラベル印刷の会社の皆さんは、ラベルを印刷するって考えちゃ駄目なんですよ。いいラベルを印刷しようって考えちゃ駄目なんですね。そのラベルがどういうふうに使われて、それが自分たちのお客さまのその先のお客さま、例えば酒造メーカーさんに対してお酒のラベルを納めているんだったら、その先のお酒を買われる消費者の方にどう響くかということまで考えなきゃいけないんじゃないかなというのが、まず今日の1つ目の僕の提言です。
 なので、ラベルの魅力であったりだとか、パッケージそのものの訴求力ということをもっともっと意識して、われわれはものづくりに励む必要があるんじゃないかなと。クライアントは何を伝え、クライアントというのはわれわれの直接のお客さまが、その先のお客さまに何を伝えたいのかということを考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
「何を売っている会社でしょうか」
 次の会社は何を売っている会社でしょうか。これは当てませんので、皆さん、頭の中でそれぞれ考えてみてください。
 まず1つ目、コカ・コーラ。コカ・コーラボトラーズ。何を売っている会社でしょうね。そうですね。黒くて甘い清涼飲料。ではないんですよ。コカ・コーラは「スカッとさわやか」を売っているんですよ。ごめんなさいね。とんち問題みたいですけれども、これは、われわれと言うか、各企業さんが実際に売っている品物そのものじゃなくて、そこに紐付いている価値ですね。目に見えない価値だとか、事業の本質と言うか、目的と言うか、それが何なのかなという、そういう問題です。
 じゃあ、次です。西川の羽毛ふとん。別に西川じゃなくてもどこでもいいんですけれども、これは温かい羽毛ふとんや、やさしい枕を売っている、安眠枕を売っているんじゃなくて、快適な休息を売っているわけですよ。ここまではよくマーケティングで出てくる事例なんですけれども。
 最近面白かったのが、トヨタ自動車さん。トヨタさんは、年頭の何かのあいさつか、インターネットの記事だったかと思うんですけれども、豊田章男社長が、トヨタは自動車を売っているんじゃなくて、移動手段を売っている会社なんだということをおっしゃっていましたね。特に個人の移動手段と言っていたかな。だから、空飛ぶ車だとかに今、一生懸命出資をしたりだとか、自社でも研究をしているんだというようなお話をしていました。なので、移動手段を売っている。移動手段がわれわれの提供するソリューションでありバリューであるという言い方ですね。
 じゃあ、われわれ、シール・ラベル印刷会社は何を提供しているんでしょうか。これは今、ちょっと前のスライドでもお話をしましたし、トヨタさんの例が非常にヒントになると思うんですけれども、シールやラベル印刷会社は、というよりは、印刷そのものですね。印刷そのものは、僕、15年前にこの業界に初めて入ったとお話ししましたけれども、そのときにあまりにもこの業界のことを知らなかったので、日本プリンティングアカデミーに1カ月だけ行っていたんですよ。大先輩、いらっしゃいますけれどもね。この業界にも。
 そこでいろんなことを、最初に印刷の基礎を勉強していたときに、カラー分解だとか、モアレだとか、いろんなことをやりましたけれども、スクリーン線数だとか。何も覚えていないんだけれども、1個だけ覚えているのは、そのときにある先生がおっしゃっていた、印刷というのは情報の伝達媒体なんだよということをおっしゃっていたんです。インフォメーションビークルという言い方をしていましたね。インフォメーションは情報ですね。ビークルは乗り物です。なので、印刷物に情報が乗っかって第三者のところへ届けられる、その乗り物というのが、印刷というのは情報の乗り物なんだよというのをお話ししていて、それがすごく僕は印象に残っているんですけれども。
 シールやラベルというのもまさにそうですよね。シールやラベルは、シールやラベルが欲しいんじゃないんですよね。われわれに注文をくださるお客さまというのは。その先のお客さまに何かを伝えたい、例えばそれがブランドのイメージであったりだとか、取扱の説明であったりだとか、さまざまな法律で決められている注意書きであったりとか、何でもいいんですけれども、何かを届ける必要があるから、その届ける手段として、その品物にシールを張ろうじゃないかということを考えて、それでわれわれにご注文をくださっているわけですね。
 なので、われわれはシールやラベルを作っているという意識から、もう一歩進んで、情報の乗り物を作っているんだと、そういう感覚でいる必要があるんじゃないかなと思います。なので、お客さまにとって、情報を伝達するための手段として、シールが最善じゃないケースもあると思うんですよ。例えば僕の会社の例で言いますと、電車の車内でさまざまな注意書きとかやらせてもらっていますけれども、注意書きをぺたぺた張るんじゃなくて、車内アナウンス1発でもいいかもしれないじゃないですか。車掌さんが車内アナウンスでしゃべったほうがみんなに届くメッセージのケースもありますよね。それをわざわざシールにして、べたべたべたべた車内に張ったって、逆にそれは風景になってしまって、全然訴求効果がないケースっていうのもあったりしますよね。
 また別の例では、最近、駅の柱とか、デジタルサイネージ、あれなんか苛立たしいですけれども、あれなんかもわれわれを置き換えようとしている最大のライバルだと思ってもらっていいと思うんですけれども、ただ、あれも結局印刷物を作って壁に張るよりも、より効率的、効果的にお客さまに広告を見せる手段として、ああいったものが出てきているだとか。なので、シール・ラベル屋さんなんだけれども、シール・ラベルにこだわらずに、お客さまが伝えたい情報をどうやってお届けするかというののお手伝いをするというスタンスで考えると、まだまだビジネスチャンスというのは広がってくるんじゃないかなと思います。
 ブランドとは   
 話は戻りますけれども、ブランドですね。そもそもブランドって何かという話なんですけれども、Googleで調べると、読んじゃいますけれども、ブランドと言うのは、「ある財やサービスをほかの同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財・サービスと消費者の接触点で接する当該財・サービスのあらゆる角度からの情報と、それを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思、思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財・サービスに対して出来上がるイメージ総体」と。何を言っているかよく分からないですけれども。
 要は、似た、同じジャンルのものから、そのものを指名買いしてもらうための、ほかとの区別をされるイメージそのものということですね。なので、お客さまがブランドを確立するために、われわれがどんなお手伝いをできるか。お客さまが、例えばさっきのお酒の例だったら、店頭にずらっと並んでいるお酒の中から、そのお酒に消費者が手を伸ばしてもらうためには、どのようなお手伝いができるか。お客さまのブランドを確立するということです。お客さまが指名買いされるような状態を、われわれシール・ラベル会社がつくってあげることができないかということです。
 そのためには、非常に単純な例ですけれども、お酒の例で言うと、デザインの段階から相談していただけるようなところだとやっぱり強いですよね。もう全部スペックが決まっていて、相見積を取られてどこが安いのというような状態だったら、お客さまの役になんか立ちようがないじゃないですか。それが、デザインからできるようなところというのは非常に強いなというのは、ラベルコンテストを見ていてひしひしと思いますね。常連の会社さん、ありますよね。大体北のほうとか多いんですけれども、ああいうところの作るラベルって、非常に見ていても格好いいなと思うんですけれども、デザインからやっているんですよね。それが非常に感心半分、うらやましさ半分ではあるんですけれども。
 そういうような意味で、お客さまが指名買いしていただくのと同じように、われわれも指名してもらえるようになるためには、われわれ印刷会社もブランディングが必要なんじゃないのかなというのが、今日の2つ目のポイントです。言っている意味、分かります? 常に、次、もう1回スズパックさんに頼むよと言ってもらうためには、スズパックさんの、ごめんね、突然名前を出しちゃって、目が合っちゃったから。スズパックさん自身がブランドにならなきゃいけないんですよ。あまたあるシール・ラベル印刷の中から、お客さまが、よし、またスズパックさんに頼もうと思ってもらうということは、スズパックというブランドが確立されているということなんです。
 そこで、われわれ自身もブランディングをしていこうじゃないかということで、今年の年頭所感で、いろんなところで書かせてもらっているんですけれども、ちょっと読みますね。「すべての組合員が価格以外の差別化要因を見出し、自社のブランドを確立すること。そして組合をあげて『安売り競争』を回避する、ということです。価格だけの競争は、われわれにとってみれば我が身を削って疲弊するばかりの消耗戦であり、シール・ラベル製品の市場価格を相対的に毀損させ、顧客にとっても決して有意義なものではありません。
 それを回避するためには、すべての組合員が自社の強みを見つけて、それを再確認した上で自社の『ブランド』として確立していくことが必須と考えます。そのために、組合単位での『意見交換会』や『勉強会』を通じ、事例研究をしていただきたい。そして、そのベスト・プラクティスを連合会経由で『情報共有』し、さらなる化学反応を生み出したい。この一連の活動を『ブランディング確立元年』と名付け」うんぬんかんぬんというようなことを、今年の年頭所感で書かせてもらっているんですけれども。
 要は、今、東京だけじゃなくて、全国で全日の傘下の組合員って550社あるんですけれども、550社あれば550通りのブランディングがあるべきだと思いますし、必要なんじゃないかなと思うんです。それをやっていかないと、本当に安売り競争で、さっきも言いましたけれども、相見積を取られて、一番安いところに出す。逆に言うと、一番安い値段で入札したからうちが取ったと。値段で取ったら、次また値段で取られますから。もっと安いところが出てきたらそこに取られるだけの話ですから。値段は差別化にはならないんです。そこを1社だけで考えるんじゃなくて、業界全体で考えていきたいよねというのが僕のメッセージなんです。
 「顧客にとっても決して有意義なものではありません。シール・ラベル製品の市場価値を相対的に毀損させ、顧客にとっても決して有意義なものではありません」と。これはどういうことかと言うと、安値競争をしていくと、買い手であるお客さまにとっても不幸ですよということです。今回安く買えたからよかったよかった、その場ではいいかもしれないですけれども。例えばあるラベルをみんなで相見積で、一番安いところが、極端な話、1円で競り落としたとしましょう。そうしたら、そのお客さんはそのラベルには1円の価値しか感じれくれないわけです。今後、金輪際ずっと。この先、未来永劫。
 そうしたら、もしその会社が何かの不幸で立ち行かなくなって、倒産してしまったと。でも、よそにテンチョウしなきゃいけないよねと、お客さんは考えますよね。よそに頼もうとしても、1円でできるところなんかどこもないと。うちなんか絶対そんなのやらない、やらないって、549社が言ったらどうなります? お客さんにとってもアンハッピーじゃないですか。だから、下手な安売りは自分の首を絞めるのとともに、お客さまに対しても迷惑がかかるということなんです。そういったことをやめていくために、ブランディングというのが必要なんじゃないかなというお話でございました。
 次、マーケティング事例の、ここまでで多分時間切れになっちゃうと思いますので、最後のお話は、また興味がある方は見ておいてくださいというレベルでいきたいと思いますが。SWOT分析とクロス分析ということですね。これもお手元にない資料だと思いますけれども、またクイズです。「どれだけ知っていますか?」。これも特に皆さん、当てませんので、自問自答してみてください。
 まず1つ目です。「御社の一番の得意先はどこですか?」、これは皆さん、頭に思い浮かびました? これは簡単ですね。思い浮かぶ。うちはあそこが一番大きい。大きいお客さん。じゃあ、そのお客さんは御社からだけ買っていますか。それとも複数社から買っていますか。シールやラベルを1社から買っている。皆さんの会社から買っているんだったら、それはハッピーですね。ある意味アンハッピーな部分もあるんだけれども、でも、大抵の場合は複数社から購買していると思います。今日、協賛会の方もいらっしゃると思うんですけれども、例えば紙屋さん、たくさんの紙屋さんありますけれども、われわれ、1社から完全に1社だけというところはあまりないと思うんですね。時と場合によって、いろんなところを使い分けていたりとかするんじゃないかなと思います。
 じゃあ、次が肝なんですけれども、「自社のシェアをご存知ですか?」と。例えば、自社のほかに2社あったとします。つまり3社から、うちのお客さんは山王テクノアーツを含めて3社から購買していると。シール・ラベル製品を。そのときに、われわれのシェアはどのくらいなのかなと。それをちゃんと皆さん把握していらっしゃいますかね。さらに、お客さまがどのように使い分けをされているのかご存知ですかと。山王テクノアーツのほかにあと2社から買っていると、ある鉄道メーカーさんがね。うちの例で言いますと。その鉄道車両メーカーさんは、どういうときにうちに注文をくれて、どういうときにはB社に注文して、どういうときにはC社に注文しているのか。どういう形で使い分けをしているのかというのをちゃんと皆さん、把握していらっしゃいますかというお話です。
 これは、例えば、全然使い分けなんて考えていなくて、長年のお付き合いだから、A社、B社、C社、3社に順番に出しているだけだよと。どこも古い付き合いだし、どこも価格も品質も変わらないし、そこは今までの付き合いがあるので、平等に出しているんだよなんて言うところがあったら、そのA社、B社、C社は早々に合併したほうがいいですよね。管理費を削減してコストダウンできるし、お客さんに対しても価格競争力できるでしょう? だから、そういう競争のない世界でやってちゃ駄目ですね。ちょっと話がずれましたけれども、こういうようなことをきちんと把握できていますかというところがまず1つ目の問いです。
 日々いろんな案件が降っては湧いて、降っては湧いてされていらっしゃるかと思います。その中で受注できるケースと、失注してしまうケースというのがあると思います。その失注した案件の理由をきちんと把握できていらっしゃいますかというところです。価格で負けたのか、納期が間に合わなかったのか、担当営業がへそを曲げているのか、よその会社が接待漬けにしているのかだとか、あまり聞かないけれども、最近は。ただ、どういう理由で失注したのかというのをちゃんと分っているかということです。
 あとは、ご家族だけじゃなくて従業員さんを雇っていらっしゃるところ。従業員さんを雇っていらっしゃるところで、ある従業員さんが辞めますと言って来ました。そのときに、その退職者の本当の理由、本当の退職理由というのを把握していらっしゃいますかということですね。給料が安いからだとか、実家を手伝わなきゃいけないからだとか、いろんな理由はあると思うんですけれども、「本音では何でやめちゃうの? 君」というのをちゃんと社長さん、分かっていますかねというところです。
 これは何ページか前のお話に戻るんですけれども、お客さまのお客さまを把握していらっしゃいますかということです。今、われわれが直接取引をしているお得意先さんの先のお客さまはどんな方々なのかということです。その方たちが今後どうなっていくのかというのを考えたことがありますか。これらの問いに思いを馳せていくと、自社の強みだとか弱みだとか、自社を取り巻く外部環境の今後のビジネスチャンスだとか、今後のリスクだとか脅威というのが見えてきます。それをまとめたのがSWTO分析というものです
 
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